お酒は20歳になってから
皆さまこんばんは。
さけ袋のお時間です!
本日はニッカウヰスキーが誇るシングルモルトのこちら。
『シングルモルト 余市』
ニッカウヰスキーが日本国内に所有している2ヵ所蒸溜所のうちの1つで、ニッカの原点でもあります。
ニッカウヰスキーといえば余市という方も多いのではないでしょうか?
余市蒸溜所
飲み進める前に余市蒸溜所について簡単に探ってみましょう!
1934年に竹鶴政孝が北海道余市町に創設し、その地名から『余市蒸溜所』と名付けられました。
竹鶴政孝といえば、NHK朝ドラ『マッサン』でも取り上げられたジャパニーズウイスキーの父です。
このドラマの影響でウイスキーブームも更に加速しましたね!
竹鶴政孝は1918年にウイスキーの本場、スコットランドへウイスキー作りを学ぶために留学しました。
スコットランド現地で蒸溜所に実習を頼み込み『ロングモーン蒸溜所』やキャンベルタウンの『ヘーゼルバーン蒸溜所』でウイスキーの製造実習やブレンドの技術を学びました。
専門の職人でも嫌がる蒸溜釜の掃除も内部構造を調べるために、自ら買って出たそうです!
スコットランドでの経験を『実習報告』と題されたノートに設備のイラストなどを加えて詳細にまとめました。
それが『竹鶴ノート』と言われる日本のウイスキー作りを発展させる資料となりました!
竹鶴政孝がスコットランドにウイスキー作りを学びに行かなかったら、日本のウイスキーの歴史は始まっていなかったかもしれません。
かつての英国首相は『頭の良い日本の青年が、1本の万年筆とノートでウイスキーづくりの秘密を盗んでいった』とユーモアと親愛の情を込めてスピーチしたという逸話があるほどです。
竹鶴政孝は帰国後、スコットランドで学んだウイスキー作りを日本で実現させるために、できる限りスコットランドの環境に近い場所を選びました。
そこで選ばれたのが『余市蒸溜所』が位置する、北に日本海があり山に囲まれた環境です。
古くはニシン漁で栄え、日本で初めてリンゴ栽培に成功した地としても知られています!
冷涼かつ湿潤な気候で、年間の平均気温も8℃とウイスキーの本番であるスコットランドに近い気温になっています。
また、近くには余市川からの伏流水、ピート(泥炭)や石炭も採掘できるという点も余市のウイスキー作りに欠かせない点です。
ピート?
『ピート』とは日本語で『泥炭』といい水生植物などが、長い年月をかけて炭化したものです。
このピートを燃やした煙で水分を含んだ麦芽を乾燥させることで、麦芽に燻された独特の香味がつきます。
そんな竹鶴政孝の信念が宿った『余市蒸溜所』は国の登録有形文化財にも登録されています。
シングルモルト 余市
余市蒸溜所は世界でも珍しい『石炭直火蒸溜』を行っています。
石炭直火蒸溜?
ほとんどの蒸溜所はガスや燃料で安定した火力を保ちながら蒸溜します。
しかし、余市蒸溜所は昔ながらの石炭による直火蒸溜を行っており、火加減を見ながら細かに砕いた石炭をくべ続けます。
それにより熱のムラが起こり『まろやかな口当たり』『モルトの重厚感』『独特の香ばしさ』が生み出されていると言われています。
この火加減を体得するのに10年はかかると言われているそうです!
今回テイスティングするのは年数表記なしの『シングルモルト 余市』です。
現在販売されている余市のラインナップは
- 『シングルモルト 余市』
- 『シングルモルト 余市10年』
この他にも蒸溜所限定や数量限定物もございます。
『シングルモルト 余市10年』に関しては2022年7月から北海道で先行発売し、11月から全国で数量限定発売されています。
過去には20年など、一般的に超熟と言われる余市も販売されていました。
近年のウイスキーブームによる原酒不足が原因だと思われますので今後、余市10年のように復活することもあるかもしれません。
ちなみに京都で余市10年が販売されているところを見たことは一度もありません!
『シングルモルト 余市』の特徴は男性的で力強くて重厚な味わいです。
『ヘビーピートタイプの原酒』と『新樽を使用した原酒』『シェリー樽原酒』をバランスよくブレンドしています。
『余市蒸溜所』といえばもう一つこだわりがあります。
造り酒屋に生まれた竹鶴政孝が酒への敬意を示してポットスチルにしめ縄をしています。
日本の習わしから受け継ぎ、良い原酒ができるように願い、神様に感謝する想いから飾られているそうです。
では実際に飲んでいきましょう!
テイスティング
今回はストレートとハイボールでテイスティングしました。
【シングルモルト 余市】
《度数》45%
《原材料》モルト
まずはストレートから。
色味は少し薄めの琥珀色です。
・香り
炭のようなスモーキーな香りと熟したりんごのフルーツ香、バニラやバナナのような甘い香りを感じました。
スモーキーな香りより、バニラやフルーツの甘い香りの方が印象的でした。
・味わい
バニラの甘さが強く、鼻から抜ける余韻でスモーキーさを感じました。
余韻はそれほど長くありませんが、若いアルコールの刺激と少しビター感もあり、べっこう飴のようなニュアンスもありました。
甘さとスモーキーさのバランスが良い味わいでした。
お次はハイボールです。
・香り
スモーキーさとリンゴのようなフルーツの香りがうっすらと香るぐらいでした。
そこまでスモーキーな香りが際立つという感じではありませんでした。
・味わい
すっきりとしたスモーキー感とバニラの甘さが特徴的でした。
ストレートで感じたフルーツ感は弱くなりましたが、甘さと鼻から抜けるスモーキーな香りのバランスの良さを感じました。
複雑さはあまりありませんが、飲みやすいハイボールです。
まとめ
ウイスキーで『ピート』や『スモーキー』と聞くと、独特な香りや味わいが苦手な人は苦手だと思います。
ピート強めのウイスキーは飲んでいると飲み疲れする物もありますが、余市はスモーキーな香りと甘さのバランスが良く、飲み疲れしません。
僕も久々に飲んだのですが、こんなにフルーツ感強かったっけ?と思うほどでした!
スモーキーなウイスキーに苦手意識のある方も比較的飲みやすいのかなと思います。
ロックはクリーミー感が強くなり飲みやすいのでおすすめです!
日本のウイスキーの歴史を拓いた竹鶴政孝が、情熱を注いだ余市は飲んでみる価値ありだと思います。
では最後に今回の『ちょっと人に話したくなるポイント』です。
- 『竹鶴ノート』が日本のウイスキーを発展させた
- スコットランドに近い環境を求めて北海道の余市が選ばれた
- 『余市蒸溜所』は世界でも珍しい石炭直火蒸溜を採用
皆さまも是非一度、試してみてはいかがでしょうか?
では。
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